ホアカリ
十四の丘
オオクニヌシは全国の美しい女神たちと
(はあっ……あいつ、マジでありえないな。すぐキレるし、物に当たるし。品行方正で才色兼備な私とは大違い。本当に私の子供なんだろうか。実は、天孫だったり
ニヤリとしたオオクニヌシは、さっそく憂いの元凶のところへ向かった。
「ねぇ、ホアカリ、ちょっと水
「あ? めんどくせぇし、行かねーよ」
「まあまあ、そう言わずに。
「山か!? なら行く」
(息子がアウトドア好きで良かった)
言葉巧みにたぶらかすのは彼の特技だ。
こうして因達の神山まで、まんまとホアカリを連れ出したオオクニヌシ。その子が水を汲みに行っている隙に、急いで川に船を出して逃げ去ろうとした。
「親父ぃ、汲んできたぞ……っていねぇ」
ホアカリは父がいたはずの場所まで戻ってきたが、その姿がない。不審に思ってきょろきょろ見渡すと、父神の乗った船が出発するところだった。
「あンのくそ親父! 俺を置き去りにする気か、ザッケンナコラー! ぜってぇ許さねぇ……うおおおおお、風よ猛れ! 波よ狂え! あの船をぶっ潰せぇ!!」
怒り恨んだホアカリは神力で風波を起こし、父の船に追い迫った。
「うわっ、なんだ? 急に川が荒れて……進めないっ。うわわわ、飛ばされるぅぅぅ!」
激しい嵐に、ついに船は丘の上まで吹き飛ばされ、粉々に打ち壊された。それが由来で、そこを
ホアカリの起こした暴風はそれだけにとどまらず、周囲のあらゆるものを飛び散らかした。琴が落ちた所は
命からがら、ほうほうの体で帰宅したオオクニヌシは、妻のノツヒメにこうこぼした。
「悪い子から逃げようとしたら、かえって辛く苦しい目に遭っちゃったよ……いやぁ、まいったね。うふ」
「うふ、じゃありません。私たちの愛しい子です、もっと大切にしてくださいね」
「は~い」
そんなわけで、そこを名付けて