カムムスビの御子神たち
キサガイヒメとウムギヒメ
カムムスビの子キサガイヒメはある時、相手もいないのに妊娠してしまった。
「不思議なことがあるものだわ。ショックがないといえばウソになるけど、これには大きな意味が秘められていると思うの。きっとこの子を産んでみせるわ」
そして、もうすぐ産まれそうなときになって、大切にしている弓矢がなくなっていることに気づいた。
「私の子が強く勇ましい神の
そうすると、角でできた弓矢が、洞窟を通る川の水流に運ばれて出てきた。それを取って確かめる。
「違う、これは私のじゃない」
彼女は角の弓矢を投げ捨てた。すると今度は、黄金の弓矢が流れてきた。近くに来るまで待って拾い上げる。
「そう、これよ、私の弓矢は。見つかって良かった……願いが通じたのね。やっぱりこの子は、特別なのよ。それにしても暗い岩屋だから、手元で見ないと自分の物だとわからなかったわ」
それならと、キサガイヒメはおもむろに金色の矢をつがえた。金の弓を引きしぼり矢を放つと、岩壁を射通した所が、まばゆいばかりに光り輝いた。
彼女の社殿はここ、神埼に鎮座している。
余談だが、今の人がこの洞窟の辺りを通るときには、必ず大声を上げながら進む。もしこっそりと行くと、神が現れて旋風が起こり、通る船は必ず転覆するからだ。
ところで、昔の
彼女のお社は、
ナガヨリヒコとキヒサカミ
女神を続けて紹介したが、カムムスビの子には男神もいる。ナガヨリヒコはとある村にいた。
「私の心は安らかで
彼がそう言ったので、その土地を
キヒサカミもカムムスビの子だ。別名シツチチともいい、