スサノオの御子神たち

サクサヒコ

スサノオクシナダヒメの間に産まれた子、サクサヒコは大草おおくささとに住んでいた。
ある時、サクサヒコは高麻山たかさやまの上に、初めて麻の種をまいた。
この山の峰に鎮座しているのは、彼の御魂みたまだ。自分の分身にお気に入りの場所を守らせるなんて、父の真似をしたんだろうか。

嶋根・秋鹿

嶋根しまねこおりにいるツルギヒコも、スサノオの子だ。

「ここは、俺が治めている登山口の所だ」

彼がそう言ったので、その村には山口やまぐちの郷という名前が付いた。

嶋根の郡にいるスサノオの子供は他にもいて、名をクニオシワケといった。

「私の治めている国は形が良いかたえし

彼は彼でこんなことを言ったから、その地は方結かたえの郷と名付けられた。

続いてのスサノオの子は、イワサカヒコ。彼は国内を順に回っていて、秋鹿あいかの郡の恵曇えともの郷に着いた。

「ここは土地が未開発だから、まだまだ発展する余地があって美しいじゃないか。それに、土地の形が絵鞆えとも(弓を射るときに手首に付ける防具)みたいで好きだなぁ」

この地をとても気に入った彼は、人々に神殿を造らせまつってもらうことになった。

スサノオの子の中で、国内を巡行した末に秋鹿の郡に住み着いた神は他にもいる。トオシルヒコが選んだのは多太ただの郷。

「ここに来て、俺の心は明るく正しくなった思いがする。よし、ここに住もう」

スサノオとその子供たちの頑張りで、出雲いずもの国は少しずつ発展していった。