ニニギ
高千穂の二上の峰
次の時代を作るのは
ニニギは
お供の神を従えたニニギは、天界の祭壇を離れ、八重に重なる空の雲を押し開き、清められた道をかき分けかき分けて、
「わぁ~、空が真っ暗だね。これじゃ昼と夜の区別もつかないや。アマテラス様から聞いてた話と違うなぁ」
何も見えないことに驚くニニギ。後をついてきたカムハタヒメも、戸惑いの声を上げた。
「そうですね……アマテラス様は、地上は平穏になったとおっしゃっていましたが、これでは人も何もかも道を見失うでしょう」
するとそこへ、土地の豪族二人が現れた。一人は筋骨隆々、もう一人はまだ年端も行かない子供だ。
「ニニギ様! 拙者はオオハシ!」
「せっしゃはオハシ~!」
「我ら兄弟、天孫様にご奉仕するべく、駆け付けたでござる!」
「ごじゃるぅ~!」
(ええ~……この暗闇の中をどうやって? なんで僕がここに降りたこと知ってるの? ござるっていつの時代だよ、ってかこんな幼い子までいる?)
ニニギの頭にはツッコミばかりが浮かんだ。不審に思ったカムハタヒメは、ニニギをかばうように間に割って入る。
オオハシは慌てて手を振り振り弁解した。
「や、そう警戒なさるな! 我らはこの暗い空を変える、提案を持ってきたのでござる」
「提案?」
ニニギは少し興味を引かれた。カムハタヒメのほうは、厳しい表情を崩さず応対した。
「聞かせてみなさい」
「よくぞ聞いてくだされた! 天孫様の尊いお手ずから稲の穂を抜いてモミとし、四方に投げ散らせたなら、必ずや空が晴れるでござろう」
「あぁ~!」
オハシもうれしそうにこぶしを突き上げている。
「どうなさいますか?」
「ん~、話に乗ってみようか。稲穂なら、高天原からたくさん持ってきてるし」
オオハシらの言うとおりに、ニニギはたくさんの稲の穂をもんでモミを作った。それから黄金のモミを振りまくと、まるで星が瞬くように、そこから光が放たれた。そして、みるみるうちに空が晴れ渡り、太陽も月も照り輝き出した。
「あはっ、すごいや! とっても明るくなった」
「これもニニギ様のお力でございます」
恭しく控えるカムハタヒメの横では、兄弟たちがはしゃいでいた。
カムハタヒメ
その後ニニギは、剣の柄を
カムハタヒメはニニギの命により、服を織るため、