オオクニヌシの決意
神賀詞
オオクニヌシもまた、地上を穏やかにするために飛び回った。
「これから遠い国へ向かおうとしている、私の心を
そういうわけで、その村を
それから八口の神々を従わせて、出雲へと帰ってきたオオクニヌシは、
「あぁ、いよいよこの時が来たんだな。思えば色々あった……全国の美女を集めに行ったり、外から来た敵を迎え撃ったり、仲間と一緒に国を造って豊かにしたり……こうして今、私が治めている国だが、天の神のご子孫にお譲りしようと思う。きっと平和な世としてお治めくださるだろうし、そうであってほしい。だから、お任せしよう。
……ただ、幾重にも雲が折り重なり
そう言い終えると、オオクニヌシは晴れやかな表情を浮かべた。彼が苦労して造った国だったが、ニニギに譲る決意を固めたのだ。
出雲大社
出雲にゆかりのある神として挙げたものの、これまでその子供たちばかり取り上げてきたカムムスビ。彼にようやく出番が回ってきた。彼はオオクニヌシのことを気に入っていた。
「オオクニヌシくん、
興奮気味に独り言を漏らしたカムムスビだったが、何かひらめいたらしく、ぱんっと手をたたいた。
「あっ、そうだ。ミトリはいるかしら?」
「お呼びでしょうか?」
彼の声に応えたのは、子のアメノミトリだ。
「ちょっとお願いがあるの。とっても照り輝く天の神の神殿とね、おんなじ規模で、
「かしこまりました」
丁寧に頭を下げると、アメノミトリは手早く準備を済ませて、
「相変わらずよそよそしい子ね。でも紳士に育ってくれて、私はうれしいわ」
アメノミトリが
カムムスビが代表して命令を下したが、宮の造営は高天原の意思でもあった。
その後、大勢の天の神々が
そして、空高くそびえる立派な神殿ができ上がった。それが現在の
こうして、オオクニヌシの時代が終わったのだった。