出雲の御子神たち
山代・美保・美談・多伎
ヤマシロヒコは
オオクニヌシの子の一柱、ワカフツヌシは、
彼が
「自然に消えたんだな。イノシシの足跡が
その言葉から
アヂスキタカヒコネ
子だくさんのオオクニヌシだったが、ホアカリとはまた別の意味で手こずる子供がいた。なにせ産まれてからずっと、泣きやまないのだ。名をタカヒコネという。
「うあああああああああああんっっ! うあああああああああああんっっ!」
「うぅ……こう昼も夜もなくギャン泣きされると、キツい。わけを聞いても、ただ泣き続けるばかりだし……ノイローゼになりそうだ」
とはいえ、このままではどうにもならないと、寝不足で回らない頭で必死に考えた。
「そ、そうだ。高床式住居を用意して、そこにこの子を住まわせよう」
そんなわけで、
「やれやれ……これで多少は泣き声も遠くなったな。はぁ……今はただ、ゆっくり寝かせて……」
その晩、オオクニヌシは久しぶりに熟睡することができた。
しかし、その後もタカヒコネの涙は止まらず、来る日も来る日も泣き続けていた。
「タカヒコネ、今日も泣いているな……体は立派になったし、ヒゲだって、握りこぶし八つ分にもなるほど長く生えてきたというのに。言葉さえまだ通じない……何が悪いのか……どうにかして慰めてあげたいよ」
オオクニヌシはタカヒコネを船に乗せて、島々を連れ回してみたが、やはり泣きやむことはなかった。
「ダメだ……もうどうしたらいいかわからない。情けないな、親なのに……」
うなだれたオオクニヌシは、夢に願うしかなかった。
「どうか、我が子の泣くわけを教えてください……!」
この祈りが通じたのか、その夜の夢に、子と言葉が通じるさまを見た。翌朝、目覚めるなり父は息子の元へと走った。
「タカヒコネ! しゃべれるか!?」
「……ミサワ」
「ッ!! しゃ……しゃべったぁ! でもいきなり意味不明だな。まぁいい! 良かったぁ~。で、ミサワってどこのことだい?」
親神に尋ねられたタカヒコネはその前を立ち去り、家を出ていった。慌ててオオクニヌシはその後を追う。彼はそれから石川を渡り、坂の上に着いて、ようやく立ち止まった。
「ここだ」
タカヒコネがそう言うと、そこにあった沢から水が流れ出た。
「そうか、ここがミサワかぁ! ではここは
それから、親子はそろって