タケイワシキ
神前山・都多支
ある時、サヌキヒコという
「この国に、四国にまで評判が届くほどの、すっごい美人がいるって聞いたんだよね~。確かこの辺のはずだけど」
彼はヒカミトメの家の前に立ち、中に呼びかけた。
「ヒカミトメさん、いらっしゃいますか?」
「何か御用?」
応対に出たヒカミトメの美貌に、サヌキヒコのハートは一瞬で撃ち抜かれた。舞い上がった彼は、いきなり本題に入った。
「ぼっ、僕と結婚してください!」
「え~……嫌です(名乗りもしないでいきなりとか、何こいつ)」
「絶対に幸せにしてみせますから!」
「いやいや無理無理。あのね、私にはすでに愛しい人がいてですね……」
「二人で讃岐を豊かにしましょう!」
「あの、人の話聞いてます?」
「さあ、語らいましょう!」
サヌキヒコはヒカミトメの腕をつかみ、強引に家の中に入ろうとした。
「ちょっと、どういうつもり!? タケイワ、なんとかしてぇ!」
怒った女神が呼び寄せたのが、タケイワシキ。
「おい、てめぇ。トメ様に何しやがる」
どすの利いた低音でサヌキヒコを止めたタケイワシキの手には、矛が握られている。
「ひぃっ……! こ、こいつを倒せば妻になってくれるってわけですね? や、やってやりますとも」
二神は互いに武器を手にして戦い合った。が、サヌキヒコは押され続け、
「うう、僕はなんて拙いんだ……」
そうつぶやいたので、その地は
法太・甕坂
「おいこら、ま~だそんなとこにいやがったのか」
タケイワシキはなおサヌキヒコににじり寄る。
「ひぇぇっ!」
あまりの恐ろしさに腰を抜かしたサヌキヒコは、手で
「待てこらぁ!」
「ぎゃーっ!!」
タケイワシキはサヌキヒコを徹底的に追い立てて、
「もぉ許して、許してくださいぃ~!」
「てめぇこら、二度とうちのシマに入るんじゃねぇぞ!」
そう怒鳴ると、タケイワシキは