オミズヌ
国引き神話
物語の舞台は再び
スサノオの系譜はあれから連なり、彼の4世孫オミズヌの時代になっていた。オミズヌからみれば、スサノオはおじいちゃんのおじいちゃんに当たる。
ある日オミズヌは、浜辺に立ちすくんで、寄せては返す穏やかな波をぼんやり眺めていた。
「
どこまでも続く広い海原を瞳に映しながら、しばらくもやもやと考える。すると、彼の顔がふと、ぱあっと明るくなった。
「そうだ! それなら新しく縫い合わせて、もっと大きくしたらいいじゃないか」
そうと決まれば善は急げ。今度はしっかりした眼差しで、海を見渡した。
「遠く海の彼方の
と言って、童女の胸のように平らな
「
と引いてきて縫いつけた国は、
出雲の国が少し広くなった。
続けてオミズヌは、
「出雲の北の門にある
と言って、童女の胸のように平らな鋤を手に取って、大地を大魚のえらを突くように突き刺して、魚の肉をほふるように切り離して、三本縒りの丈夫な綱を投げかけて、霜カズラを手繰るようにクルヤクルヤと、川をさかのぼる船のようにモソロモソロと、
「
と引いてきて縫いつけた国は、
出雲の国がさらに広くなった。
また、
「出雲の北の門にある
と言って、童女の胸のように平らな鋤を手に取って、大地を大魚のえらを突くように突き刺して、魚の肉をほふるように切り離して、三本縒りの丈夫な綱を投げかけて、霜カズラを手繰るようにクルヤクルヤと、川をさかのぼる船のようにモソロモソロと、
「
と引いてきて縫いつけた国は、
出雲の国がますます広くなった。
オミズヌはまだまだ足りないと、
「
と言って、童女の胸のように平らな鋤を手に取って、大地を大魚のえらを突くように突き刺して、魚の肉をほふるように切り離して、三本縒りの丈夫な綱を投げかけて、霜カズラを手繰るようにクルヤクルヤと、川をさかのぼる船のようにモソロモソロと、
「
と引いてきて縫いつけた国は、
「これで国は引き終わったぞ!」
そして
「おう!!」
と叫んだ。その顔には汗と喜びの表情が浮かんでいた。これが由来で意宇の
ちなみに
オミズヌの御子神
彼には妻ミカツヒメがいた。もはや国内を巡り歩くことのできない夫の代わりに、彼女があちこち回った。そうしてとある村に着いたとき、込み上げる気持ちを抑えきれなくなった。
「ああ、我が夫イヌよ……!」
そう言ったことにちなんで、その村を