スクナビコナの危機
伊予の湯
二神は
その途上、オオクニヌシは悔やんでいた。端正な顔をゆがませて頭を抱えている。
(ああ~っ! なんであんなこと言っちゃったんだ私! ウン〇ウ〇チ連呼しちゃったし。しかもそっち我慢するほう選んじゃったし。おまけに、あんな……あぁぁぁぁ、恥ずかしいぃぃぃぃぃぃ!!)
「気持ちが悪い~、めまいがする~……」
言い終わる前に、スクナビコナは大の字に倒れてしまった。気絶している。
「え、ちょっと、スクナビコナさん!?」
オオクニヌシは、始め遠慮がちに、それから強く揺さぶってみたが、彼が起きる気配はまったくない。
「もしかして、この子にも無理させちゃった!? あんな重いもの担がせて、何日も歩いたもんな……体弱かったんだね、なのに……ああ、くそっ」
二重の意味で後悔したオオクニヌシ。
「まさか、死んじゃったってことはないよね? ……どっちにしても、このままというわけにはいかない。う~ん、ここからなら……そうだ、別府温泉……じゃなかった、
急いで彼は
「スクナビコナさん! よかったぁ」
「……ああ? ちょっと寝てただけだって~」
「もぉ、心配しましたよ~!」
「いてぇって」
オオクニヌシは顔をくしゃくしゃにして、思わずスクナビコナを胸に抱きしめた。
なお、彼が叫びながら踏みつけた跡が、今も道後温泉内の石の上に残っている。